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「お前たちはなぜ、知能を失わずにゾンビいられる?今までのゾンビと違いすぎる」
「俺たちみたいなゾンビは、死ぬ直前に呪いの指輪を指につけられます。この指輪によって、死後も魂は肉体に縛られます。また、俺たち自身で指輪を取ることもできません。俺たちは、アンデット社に所有されたゾンビです。」
「アンデット社?魔物が組織を作って行動してるのか?」
「はい。アンデット社は、ここ最近、俺たちみたいなゾンビを大量に作って人の街へ派遣します。そうやって仲間をどんどん増やしいるんです。行方不明者が増えてるのも、アンデット社の仕業が大半でしょう」
「やはり、行方不明者の上昇はゾンビが原因か。アンデット社。また、新たな調査対象が増えたな」
ゾンビが組織を作って人を襲うか。その言葉を繰り返し頭の中で繰り返し、想像する。今日の俺のように、酔っぱらった中、襲われた人々。この兄ちゃんも被害者だ。ゾンビになってしまい、死ぬに死ねない体になってしまったわけか。望まぬ不死。
「さっきの話だと、その指輪が取れば死ねるんだろ?俺の知り合いの神父呼んでやろうか?そうすりゃあ、お前らも成仏できるぞ」
「えっ?本当ですか?俺たち、ゾンビ辞めれるんですか?じゃあ、今すぐにでーー」
「条件がある。それ次第だ」
出た。また物騒なこと言うよ、きっと。俺、ゾンビじゃないけど、聞いてるとこっちまで落ち着かないんだよな。
ゾンビの兄ちゃんもガタガタ震えてるし、かわいそうに。
「あんまり死者をいじめるなよ。キールのおっさん。泣きそうだぞ?」
「馬鹿言ってんじゃねぇ。そもそもお前も殺されかけたんだぞ?何言ってんだ」
「まあ、そりゃあ……そうだけどさ」
加害者の味方をするなんて俺もどうかしている。
「条件は、俺たち人間側のスパイになることだ。」
「スパイですか?何をすれば?」
「アンデット社の規模。今後の活動予定情報の横流し。ありとあらゆる情報を寄越せ。その間、お前たちは、人を襲うふりして失敗を報告しろ」
「スパイですか。でも俺たち、ノルマがあるんです。達成できないと、生前仲良くしていた友人、恋人、家族を襲えって脅されます。それだけは勘弁してください」
ーーほう、そこまで徹底されているのか。魔物に入れ知恵した人間でもいるのか?
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