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10ターン目 後日談
朝を迎えたゾンビたちA B Cは、固く閉ざされた薄暗い教会の中で静かに神父が来るのを待っていた。
約束通り、人間の手引きに協力して繁華街のゾンビ一掃摘発に協力した彼らは神父による浄化をしてもらえることになった。ほかのゾンビは、体を破壊されたり、聖水を大量に浴びせられて苦しみながら消えてったの大半だった。それは阿鼻叫喚が繁華街を埋め尽くし、一時期の繁華街は人もゾンビもいなくなってしまった。しかし、国が総力をあげて撲滅活動をして、更には繁華街の通行口には魔物が通れないように結界を2重にも3重にも重ねて警備を固めるようになった。当然、警ら隊によるパトロールも強化された。人々の平和は戻りつつあった。
俺はというと、ある意味苦楽を共にしたゾンビの兄ちゃんたちが成仏するのに立ち会うことにした。誰にも看取られずに消えるのも可哀そうに思えた。
「兄ちゃんたち、お疲れ様。元気でなってのも変だけどさ、安心して成仏してくれ」
「世話になったよ。ジールだったな?お前を殺さなくてよかったよ。というか、あんな怖えキースの旦那がいたんじゃ、どのみち無理だったろうがな」
「だよな。ホントはお前置いて逃げたかったからな。逃げずに一緒に残った俺たちに感謝しろよ」
「ジールを選んだ俺にも感謝しろよ。違うやつ選んでたら、聖水を頭からぶっかけられて、のたうちまわりながら浄化されてたかもしれないんだぞ?」
ゾンビの兄ちゃんたちは本当に仲がいい。俺を殺そうとしたのはいただけないが、憎めないんだよな。乱暴なことされてないし。もともと、無理やりゾンビにされて死んだ人たちだ。同情する気持ちもある。
「待たせちまったな。おめえら。神父様の登場だ。はい、拍手ー」
扉が開くとともにキールのおっさんと、後ろから神父らしき人がこちらへ歩いてくる。3人がついに成仏できると喜びの声を上げている。これで兄ちゃんたちとはお別れか。
「短い間だったけど、兄ちゃんたちに会えて良かったよ。安らに眠ってくれ」
「ああ、ジール。ありがとう。お前は元気に長生きしてくれよな」
「冒険者稼業だからな、いつ死ぬかわからんけど、俺、頑張るよ」
何か友情めいた絆ができた気がする。出会い方が違っていれば、俺たちも案外、仲良くできただろうに。俺が飲み仲間に入れてもらって繁華街の遊び方を教えてもらったり、一
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