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緒に飲みすぎて吐いてたりしてたかもしれない。会ってすぐに別れを言わなくてはいけないとは、なんとも悲しい。
というのは、神父の姿が分かるまでの感傷だった。俺たち4人は神父の姿を見て絶句した。キールのおっさん以上の筋肉をつけた大男が神父の姿をしていた。
「貴様らがぁ巷を騒がせたゾンビどもかぁ!このわしが来たからには、悪行ぉはそこまでじゃぁあ~~!!」
やばいやばいやばいやばい。俺も込みで浄化させられる。いや、生きてるから俺には効かないはずだけど。物理的な攻撃仕掛けてきそうで怖い。兄ちゃんたちから離れよう。
「逃がさんぞ。見た目が小僧でも、このわしに慈悲などない。」
神父の言う言葉じゃねぇよ。死ぬ死ぬ。
「くらえ、我がマッスル教伝統の必殺技、パイルドライバー(脳天杭打ち)!!」
「ぐはっ」
瀕死にまで追い詰められた俺は死期を悟った。兄ちゃん、俺、先にあの世で待ってるわ。
「おい、そいつは人間だ。相変わらず、せっかちだな。兄貴」
「なに?こいつは人間か?貴様らっ!こざかしいゾンビどもめ!我が身かわいさに、こんな小僧を身代わりにするなぞ、許してはおけん」
「いや、おっさんが勝手に勘違いしてーー」
「言い訳なぞ、聞く耳もたん。全員、パイルドライバーじゃあ」
薄れゆく意識の中で、教会はパイルドライバーを繰り出すたびに揺れた。なんか、ごめん、兄ちゃんたち。結局、他のゾンビと同じ目にあったな。朝日が昇った時間だ。外に出れない恐怖と同じ空間に猛獣のような獰猛な性格をしたおっさんに追い回されているゾンビ。お別れの挨拶は言えたし、あとは少し眠ろう。
目が覚めた時には、すでにゾンビの兄ちゃんたちの姿は消えていた。俺も少しは筋肉をつけよう。
こうして、王都の人々に平和な日々が戻ったそうだ。また、ある駆け出し冒険者は、のちのこの経験から神父に弟子入りし、パイルドライバーのジールという二つ名とともに魔物の脳天を打ち砕く奇妙な戦闘スタイルで名を馳せたそうだ。
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