6ターン目 新人研修:最近のゾンビ傾向と対策について

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6ターン目 新人研修:最近のゾンビ傾向と対策について

 商談室には商談がスムーズに進めれるように黒板が壁に取り付けてある。そこへキールのおっさんが白のチョークで書き殴りながら講義が始まった。協会で読み書きの手習いに行った以来の講義で、少しワクワクした。やっぱ、このおっさんは学者らしい。黒板に字を書いていく姿は、学者っぽい。まぁ実際に国お抱えに学者様なんですけど。 「いいか。これから話す内容は、国が公表するまでは絶対に口外してはならない。絶対にだ。もし約束が破られた場合、違約金と処罰がお前を待っていることを肝に銘じておけ。」  偉そうなとこも学者らしい。 「わかった、わかった。続けてくれ。」 「では、現代におけるゾンビの生態について分かっていることについて。最近の奴らは、どうやら知能を持ったゾンビが多数存在すると思われる。そして、集団で人を襲う。動きが機敏なのも特徴で、身体能力が生身の人間に近いものも多数存在を確認。他には……ってなんて顔してやがる。聞いてんのか?」  驚いた。俺の知ってるゾンビじゃない。俺の知ってるゾンビは、言葉にならない声を出しながら、のそのそ歩く死体。聞いている限り、ほぼ人間に近い。見た目はどうだろうか? 「いや、すまん。ちゃんと聞いてる。そのゾンビは見た目はどうなんだ?」 「見た目も俺たちと変わらんのが多い。死んだばかりの死体がゾンビ化したのか、それとも、何らかの原因で見た目が腐らないように擬態しているのか。そういったのも生態調査に入っている。続けるぞ?」  俺は黙って頷くしかなかった。見た目が同じ、身体能力も同じ、でも、人を襲う。そんなのが人の出入りの多い繁華街のなかで徘徊している。俺も今まで繁華街で飲み食いしてきた。もしかしたら、俺がばか騒ぎしている中でも誰かが襲われて死んでいたのか?最近、見掛けない奴っていたか?あの街でしか交流のない奴も多いから、連絡の取りようもないし。  気持ちの整理もまだ出来ていない。しかし、話を進めてもらい、情報を増やしたい。 「え~どこまで話したっけか?人間に限りなく近い新種ゾンビ。こいつらは知能を持つことで、繁華街では弱った奴を襲っているのではないかを推測される。根拠は、今年に入ってから繁華街近辺での行方不明者が徐々に増えている。ゆえに今回、極秘に調査を進めることになった。極秘ゆえに口止め料込で報酬が高い。他に質問はあるか?」
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