1章 姫将

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1章 姫将

私は電車で乗る車窓風景が好き。普段乗るJRや私鉄からの車窓は、いろいろな景色を見れて、どこか遠くの世界を感じさせてくれた。乗り換えや特急に乗っている訳じゃないのに、田舎の田園風景や山や海にいたのに、都会に来たりと何か魔法を感じるので好き。 しかし、このネガティブなダークサイドに引き込まれていきそうなほどに人生観を感じる、地下鉄の車窓。薄汚れた灰色のコンクリート柱と反対車線の影を交互に見える景色と、たまに設置されている蛍光灯やすれ違いに通る反対車線の明かりは、明るい気持ちや眩しさよりも今ここにいるということを実感させられている。別にJRや私鉄でも、帰宅ラッシュになると、ブラックな部分を感じる。外のネオンライトから光が入る帰宅中の酔っ払いサラリーマンや受験勉強をしている学生が、ごった返している車内にいると、今日も一日が終わる。 「また私の寿命を1日削られたと感じる」と思ってしまう。まだ午前中なのに、これから1日なのに、そう思いながら、電車を降りる。
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