曽我と按司と芽衣

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 町村按司(まちむら・あんじ)は小学四年生。  嫌いな人はひとつ年上の幼なじみの腰越芽衣(こしごえ・めい)。  両親同士が仲がいいので、しょっちゅう一緒にご飯を食べなくてはいけないのだ。  友達に、 「お前、ファミレスで姉ちゃんに口を拭いてもらってたろ。ださいのな」  と言われたときは腹がたった。  でも、もーっと許せないのは…… 「潔くんは親が水商売してるからつきあっちゃだめ。正次くんはお兄ちゃんが万引きしたからつきあっちゃだめ。光くんは漫画ばっか見てるからオタク色に染められるからだめ」  などと、友だちの悪口を言ってくるのだ。自分は友達のひとりもいないくせに。 「あー、芽衣、頭ぽっくり打って死なないかな」  そう公園の土管に横たわり、独り言をしゃべっていたそのときだ。
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