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「物語に戻ろうか。妖精の森の中のライサンダーとハーミアの結末がどうなったかについてね……ライサンダーは剣を持っているからロバの化物を退治することができるし、目の前の危険が去れば冷静になって森を抜け出す道を思い出す。後は恐怖と悲しみでその場にしゃがみこんで動けなくなっているハーミアが立ち上がれば良いだけなんだ」
そうすれば二人は妖精の森を、長い長い夜を抜け出すことができるのだ。
誰だって物語はハッピーエンドが良いに決まっている。だからこそ僕はぼろぼろの彼女に、それでも願いを口にするのだ。
そろそろ良いだろう、って。二人で、手をつないで朝を探そうよ、って。だから、
「ねぇ、未亜――君はいつまであの夏の森の中にいるの?」
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