2人が本棚に入れています
本棚に追加
真っ白い空間。
机に並べられた白い小さなヒトガタ。
床に転がる、以前は白かった筈の黒い塊を拾い上げると、刺してあった針を抜いた。
再び黒いヒトガタを放り投げると、風も無い空間なのにまるで強風に煽られたかのように霧散し、跡形も無く消えてしまった。
俺はいつものように部屋の中央の椅子に腰掛ける。目の前には沢山のヒトガタが並ぶ机。そこには、数日前から真新しいヒトガタが1つ、増えていた。
その新品のヒトガタを手に取ると、そいつの針を抜き取り、先程の黒い塊から抜いた針を代わりに突き刺す。要らなくなった針を宙に放ると、これもまた、風に吹かれたかのように横凪に霧散し、消えてしまった。
まぁ、あのツンとした感じにもちょっと飽きたし、今度は“距離“を近づけてみるか。
針を入れ替えたヒトガタをすぐ目の前に置くと、俺は何事も無く、真っ白い空間を立ち去った。
最初のコメントを投稿しよう!