理想の箱庭

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 真っ白い空間。  机に並べられた白い小さなヒトガタ。  床に転がる、以前は白かった筈の黒い塊を拾い上げると、刺してあった針を抜いた。  再び黒いヒトガタを放り投げると、風も無い空間なのにまるで強風に煽られたかのように霧散し、跡形も無く消えてしまった。  俺はいつものように部屋の中央の椅子に腰掛ける。目の前には沢山のヒトガタが並ぶ机。そこには、数日前から真新しいヒトガタが1つ、増えていた。  その新品のヒトガタを手に取ると、そいつの針を抜き取り、先程の黒い塊から抜いた針を代わりに突き刺す。要らなくなった針を宙に放ると、これもまた、風に吹かれたかのように横凪に霧散し、消えてしまった。  まぁ、あのツンとした感じにもちょっと飽きたし、今度は“距離“を近づけてみるか。  針を入れ替えたヒトガタをすぐ目の前に置くと、俺は何事も無く、真っ白い空間を立ち去った。
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