事件捜査

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 保健所へ足を運んだアトリエ。檻に入れられた大量の動物達に吠えられながら職員の人に話を聞くことができた。手に入れた情報をもとに事件について考えながら足を進める。 「これといった情報は無かったけど、変な会社の名前が一つ手に入った」  保健所の職員の話によれば、先月までの二か月ほど、保健所が捕獲した動物達の殺処分を代行する会社があったらしい。だがその期間は二か月で現在は既に契約が破棄されていた。その契約が破棄された原因は職員の話によれば動物愛護団体の抗議と業務の妨害だったらしい。厳しい抗議と業務妨害に会社は屈し、保健所から手を引いたそうだ。 「その会社の人の言い分では新たなビジネスを始めるということ。でも動物愛護団体の猛抗議でしかたなく撤退。それくらいの障害があることを考えずに闇雲にビジネスを始めたとは考えにくいなぁ」  ビジネスとは先の先を読んで勝ち目がある場合に行動を起こすものだとアトリエは思っている。適当に始めるのはビジネスではなくただの無謀だ。利益どころか損失ばかりで失うものの方が大きくなるからだ。 「そうなると、時期的なことも考えればやっぱり事件との関連性があると見る方がいいかな。殺処分対象の動物を譲り受けて、モルモットという役目を負わせて殺処分した。街中に放置することで警察や国が処分してくれるから手間もお金もかからない」  想像以上にしっくりくる仮説が出来上がった。証拠はないが、状況と起った出来事を時系列で並べればこれほど納得できる答えは無い。 「死んだ野良犬の場所はメディアがこぞってマッピングしていたみたいだし、インターネットで情報は手に入るんだけど、これから何かが出てきそうな様子は今のところないなぁ」  携帯電話でのインターネット検索。死骸として発見された野良犬の発見個所の地図は各社多少のばらつきはある物の大まかに一致している。それらを見比べてみるが、何か見えてくるものというのは今のところない。
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