事件捜査

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「後は匂いの原因を探らないといけないんだけど・・・」  匂いがあるということは事件にかかわりがあるということで間違いはない。だが、その匂いの原因となるものが何かわからない。 「新薬の匂いだと考えるのが普通だけど確証は一切なし、なんだよなぁ」  一歩進んだかと思えばその先もまた闇の中。確信までは程遠いという印象だが、それでも一歩だけでも進んだことがアトリエの心に喜びを感じさせていた。 「でも一歩前進、この調子で犯人まで一直線っ!」  グッと拳を握るアトリエ。確かな手ごたえを感じてやる気が出てくる。地面に手をついて草花の匂いを嗅いだことから、手や制服の一部が土で汚れた。 「あーあ、何をやっているの? 泥だらけじゃない」  やる気を出して気持ちが入れ替わった瞬間、突然声をかけられた。 「まぁ、そっちの方が地面を這い蹲っている雌犬って感じがして私的にはそそるわねぇ」  アトリエの前に現れたのは肩まである茶髪と眼鏡が印象的な女性。夜で少し気温が下がっているというのに胸元の開いた妖艶な衣装と発言や雰囲気がサディストの女王様を連想させる。 「あっ、先生」  その女性はアトリエが通う高校の先生だ。美人で男女問わず隠れた人気がある彼女の名は安里結(あさとゆう)。学校では白衣を華麗に着こなす美人保険医だ。しかし、持ち前のサディスト精神からか、保健室へ足を運ぶ生徒の数は少ない。怪我をした場合、真っ先に行くはずの保健室を多くの生徒が拒否するという異常事態が起こるのだが、それは美しい容姿と高い人気を量がするだけの要因があることを意味している。
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