13人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
「まったく、私くらいの大人の女だったらあなたくらいの年齢の子は男女問わず私に惚れるはずなのよ? この前だってあなたの隣の席の子を家に招いて一晩中・・・」
「うちに依頼が来たら間違いなく社会的に抹殺しますよ」
「反抗的ね。まぁ、それを屈服させることが一番面白いところ、醍醐味ってやつね」
何を言っても聞いてくれないところまで所長にそっくりだ。自分の近くには変わった人間しか集まらないのだろうかと思った時、類は友を呼ぶという言葉を思い出して頭を勢いよく横に振り、心と体で同類ということを否定する。
「それで、今回は一体どんな事件? 興味あるわね」
安里結がアトリエを蛇がカエルを見るような目で見つめている。
「先生が情報をくれたら少しは話します」
「情報? 私に何か渡せる情報でもあるかしら?」
「わかりませんけど、薬品や薬物関係になりそうなので何か知っていることがあれば教えてください」
アトリエは安里結に被害者宅で手に入れた製薬会社の名前を話した。そして新薬か何かが関わっているのではないかと考えているところまで話した時、安里結に反応があった。
「聞いたことがあるわね。最近会った昔の同僚がそんな製薬会社の話を少ししていたわ。でも真っ当な製薬会社じゃないらしいわよ」
「真っ当じゃない?」
「そういうこと。表向きは製薬会社だけど、製薬らしいことはあまりしていないにもかかわらず変なことを事業にしようとして手を出してもすぐやめる。関東にもいくつか工場や倉庫があるって聞いたけど、正常に稼働しているかどうか怪しいらしいし・・・」
聞けば聞くほど不信感が募る会社の内情だった。おかげで次の目的は怪しい製薬会社を調べることに絞ることができそうだった。
最初のコメントを投稿しよう!