事件捜査

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「複数犯じゃなくて単独犯でも可能?」  事件についてまた一歩、解決へと進むことができた気がした。そうなれば次はどこへ行くべきか、だ。それは被害者宅で見つけた製薬会社で、安里結に聞いた三か所の倉庫と工場を調べればいい。 「んー・・・首輪をつけてのお散歩ってのもそそるわぁ。近場しか歩けないからこそ近所の人や知り合いに見つかる危険性ってのがさらに最高の気分に・・・」  安里結の妄言垂れ流しタイムはまだ続いていた。アトリエはその妄言を聞いて呆れることしかできないのだが、その中で気になる言葉を見つけることができた。 「犬の散歩・・・近場・・・」  即座に野良犬の死骸が見つかった場所をマッピングした地図を取り出す。そしてそこに先ほど聞いた製薬会社の工場と倉庫の三か所を当てはめてみる。 「港の方から放射状に広がっている? 下町の工場と山間部の工場の近くでも発見はされているけど、明らかに犬の自由な行動範囲としては異質?」  次に向かうべき三点を地図に入力したとき、町中で発見された野良犬の死骸の中心部に港の倉庫が当てはまる。つまり犯人は港の倉庫で野良犬に何らかの薬品を投与して倉庫から解放した。そして野良犬は自分達の意思で町中を走り回り、いずれ街中で薬品によって死滅する。どこが出発点かできる限りわからなくしたうえでの実験なのだろう。薬品の濃度や投与する量を変えて様子見をする。後はメディアや警察がその実験結果でおおよその死亡場所と行動範囲などを勝手に割り出してくれる。
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