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そしてその時、またしても無駄なメール内容の文章が頭をよぎる。
『学園ものはやっぱりブレザーよりセーラー服だな』
偶然か必然か、ダメ人間としか思えない所長はもしかすると事件資料を見た時にある程度の答えを導き出していたのではないだろうか。そうなると彼は最初から港方面が怪しいと読んでいた。その裏をアトリエに取りに行かせたということなのかもしれない。
「そうなると公園はきっと鳩の餌やりが原因。できたばかりの新薬をマウス以外の相手で実験をしたいと考えるなら鳩が集まる公園が簡単にモルモットを集めやすいはず。ある程度薬品が完成すれば保健所の殺処分動物で次の段階、そして最後は人間・・・」
様々なものがアトリエの頭の中でつながった。その瞬間の爽快感はもはや麻薬に近い。その瞬間だけはこういうことに携わってよかったと考えてしまう。
「先生っ! ありがとう!」
「・・・へ? 何が?」
妄言垂れ流しだった安里結に大声でお礼を言ったアトリエは走って公園を後にする。残された安里結は呆然と立ち去っていくアトリエを見つめていた。しかし、しばらく立ち尽くした後、うっすらと笑みを浮かべる。
「よくわからないけど、どういたしまして」
何やら解決の糸口が見つかったような生徒の姿を見てか、安里結の表情には少し喜びの色が見られるのだった。
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