亜人の少女と事件解決

7/12

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
「この僕を・・・この最高の薬を・・・愚弄するなぁっ!」  男はフラスコの封を解き、アトリエに向かってフラスコを投げつける。フラスコは中の液体をばらまきながら宙を舞い、アトリエの足元で砕け散り、さらに多くの薬を周囲にまき散らした。その薬品はアトリエの足にも飛び散って付着している。 「はははははっ! 馬鹿め! 僕に敬意を表していれば死なずに済んだんだ! その薬は皮膚に付着したらすぐに異常が出るぞ! 今のは原液だからな! 死ぬまで時間があると思うなよ! あははははははっ!」  大笑いしている犯人。その犯人をただ動くことなくじっと立ち尽くしたままアトリエはじっと見ている。 「ははははは、あはははははははは・・・」  大笑いする犯人とじっと佇むアトリエ。その構図はいつまで経っても変わらない。 「ははは・・・は・・・バカな・・・いったい何がどうなって・・・何故だぁっ!」  犯人の大声が倉庫の中をこだまする。 「言ったでしょ? 匂うって。フラスコが割れたらもっと匂いが強くなったよ」  アトリエはゆっくりしゃがむ。強い薬の匂いは割れたフラスコの破片の中から大きいものが器となって零れずに残っているせい。その大きな器となっているフラスコの破片を手に取ったアトリエは、あろうことかそのまま口に持っていき、残った薬品を口内に流し込み、戸惑うことなく飲み干した。 「動物って匂いである程度危険かどうかを察知するよね。私も一緒。この匂いは私にとって一切毒じゃない」  割れたフラスコの破片を地面に投げ捨て、アトリエは犯人の男に向かって足を進める。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加