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「く、来るな! ば、化け物め!」
生物ならまず間違いなく死に絶えるはずの薬品。それを口にして一切異常がないアトリエ。それは彼にとって化け物と言っていいかもしれない。
「化け物? 違う!」
アトリエの表情が怒りに満ちる。
「私は化け物じゃない! 少し普通の人間と違うだけ! 私は人間の・・・亜種なの!」
男に詰め寄ったアトリエは大きく腕を振り上げ、そして力一杯振り下ろす。
「ひぃっ!」
男は頭を抱えるようにしてしゃがみこむ。その瞬間、強烈な破壊音が倉庫内に響き渡る。まるで巨大なハンマーで何かを叩き割ったかのような破壊音。
「あ・・・あぁっ・・・」
完全に腰が抜けた犯人は倉庫の地面に座り込んで動けなくなっている。その男の背後にあった巨大な机はまるでスクラップになったのではないかと思うほど損壊している。机の上に載っていた資料は破壊の風圧で倉庫内を舞い、フラスコは全て割れて液体が零れだしている。
「私だって・・・普通の人間でいたい。でも・・・生まれた時からこうなの」
力いっぱい腕を振るったアトリエは巨大な机を破壊したことで多少ストレスの発散ができたのか、落ち着いた様子を取り戻している。
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