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お姫様は男の子?!
しん、と辺りが静まり返っている。
誰もが動きを止めている教室は異様で氷のような冷たさをはらんでいた。
彼女は一言だけ発して、そのままバンッと扉を開け、こちらを一瞥もせず出て行ってしまった。
その日彼女は戻って来なかった。
俺は朦朧とした意識のまま家路に着いた。
ベッドの上にどさっと倒れる。
(…。なんだったんだ?あれ。
あれか?大人しい人ほど怒らせると怖いってやつか?)
にしてもおれは愕然としていた。
ああ、残念だったさ。
あんな可愛い娘があんな乱暴な娘だったなんて。
俺、一応かばったつもりだっとんだけどな…。
千歳さんには届かなかったのかもな。
そういえば千歳、とか勝手に呼び捨てしたよな。
後から直したんだけど…あれも気に食わなかったのかもな…。
「あ~!!!!!」
俺はベッドに突っ伏したまま叫んだ。
いろんな想いが出てきた。
まあ恥ずかしさとか後悔とか。
分かるだろ、とにかくもう俺は終わった。
俺はウェアに着替えて外に出た。
4月の夜はまだ寒い。
とにかく身体を動かすしかない。
でないと今日の自分をどこかに放り投げ出して、
このままアマゾンとかブラジルとかどこでもいいから亡命したまま帰ってこないでじいさんになっちまう。
俺は風を受けながら走り出した。
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