不思議な電報

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俺が今ここにいるのはたまたまじゃない。 「オタンジョウビ オメデトウ」 と書かれた(今時珍しい)電報が、 俺に届いたのは3月の下旬。 俺の誕生日の一週間前の事だった。 そして続いて書いてあった 「アス ニジュウイチジ イヌハシ サンチョウメ ウラドオリ キテ」 の文字に丁寧にも付き合って、こうして 来てやったわけだ。 そして俺はモーレツに後悔している。 前には血みどろの内臓を持った女らしき人物。 顔はヤギの面で隠れて見えない。 黒い宗教的な衣服を見にまとい、俺に詰め寄る。 「オタンジョウビ オメデトウ セイジクン」 何だこれ?! 俺は恐怖で身をすくめた。 怖え!!! 怖すぎる!!! 声も出ねぇ!!!!!! 誰か!!! 誰か…た、すけ…て…。 「…」 女は男が倒れるとヤギの面をゆっくり取った。 「…」 「…」 「…なーんちゃって!せいじ、お誕生日おめでとー!私だよーん、カヨコだよーん♪」 ノー天気な声と共に女はキャハキャハと甲高く笑った。 「な~によ、せっかく可愛い幼馴染がサプライズで祝ってあげてるのに~。起きなさいよ~!ねぇせいじったら~。」 と言ってカヨコはせいじの身体をゆさゆさ揺さぶったが反応がない。 「ちょ、ちょっと…ちょっと、てば~!」 カヨコはありったけの力を込めてうつ伏せに倒れているせいじの顔を上げた。 「ヒィッ!!!!!!!!!」 せいじの顔は気絶した勢いでぐちゃぐちゃになっており、道路にこびりついた血には髪の毛と頭皮がこびり付いていた。 「ギャ…ギャ~!!!!!!!!!」 絶叫したカヨコは放心状態のまま、突っ立っていた。 いつぐらいだっただろう。 カヨコは無表情のまま、おもむろにナイフを取り出した。 そしてせいじの内臓を器用にえぐりだした。 その顔になんの感情も湧いていない。 「あ、これ胃かなぁ?」 ポツンと独り言を呟くと、そのまませいじの内臓を持ちながらひたひたと歩き出した。 「お祝いしなきゃ…」 「お祝いしないとな…」 「お誕生日おめでとう…」 「お誕生日おめでとう…」 「オタンジョウビ オメデトウ…」 完
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