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甘い蜜
「私達って、贅沢だよね」
彼女は、ベッドに横たわり、今まであんなにも淫らな事をしておきながら、まるで少女のように微笑んだ。
その顔が堪らなく愛しくて、俺は彼女を再び抱きしめた。
この笑顔も、白い肌も、俺のものだ。
『但し、半分だけ』
そう、俺達は、不倫をしている。
結婚をしたものの、妻との夫婦生活に不満を抱き、いつしか生活も仕事も面倒くさいものになっていた。そんな時に出会ったのが、彼女だった。
「隣、いいですか?」
「あ、どうぞ」
会社の歓送迎会で、初めて会話をした。
出会った頃の彼女も、結婚に違和感を感じていた。
同じような境遇が、醸し出す香りが有るのかも知れない。
会社で会うたび惹かれ合い、俺達は、関係を深くするには、さほど時間が掛からなかった。
そして今、彼女は俺の腕の中にいる。
愛が深まるほど、どうしようも無い問題が阻まれる。そう、お互い結婚をしている。
『一緒にいたい』
しかし、今の生活を壊すことができないでいた。
お互い、四十近くになり、さすがに離婚するには、痛々しい。この関係が先にバレれば、それなりの代償を強いられるはずだ。
二人で、相談をした結果、今の関係を続けている 。
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