第3話

14/14
42人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
「……びっくりした。今の北川 悠貴だよな?」 「え? あ、そうなのかな?」 「雪愛は芸能人興味無いもんな。……戻るか。今ので酔い覚めたわ。佐藤さんに話したら喜びそうだし」 「うん……」  私は短く返事を返すと、動揺を悟られないように俯いた。  北川さん――、私に気がついていなかった。  たった1度会っただけだし、こっちは芸能人でも何でもない一般人なのだから、覚えていなくても仕方がない。  仕方ないのに……なぜ私は寂しいと思っているのだろう。興味が無いといいながら、私もミーハーだったのか、と苦笑する。  けれど、あそこで北川さんが私に気づいて話しかけていたら……と、思うとゾッとした。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!