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私が小学生の頃、とある田舎に住んでいた。
見渡す限りの畑や田んぼの間にちょこちょこと民家があるような田舎で、人が多くなく子供も少ない地域なので、私はひとりで遊ぶことが多かった。
近所にある小さな公園でブランコを漕いでみたり、背が低い草が生い茂る原っぱで虫取りをした。
社務所のない小さな神社で数珠球の実や鬼灯を摘んだり、網を持って小川へ行きヌマエビを掬ったりと、遊ぶことには事欠かない長閑な田舎だ。
そんな田舎の車がほとんど通らない狭い道の奥にある、事務所を併設いる一軒家で父と母と暮らしていた。
一緒には暮らしていなかったが、年の離れた姉達もいる。
物心ついた時には姉達は他県で独立しており、家に来ることはほとんどなかった。
そのため、私は中学生になるまで一人っ子だと思っていたくらいだ。
父と母はいつも忙しそうだった。
母は仕事一筋の人間で、あまり家にいる事はなく、夕飯を作って一緒に食べた後また仕事に行くような人。
父は隣の事務所で「舎弟」と呼ばれる人たちに怒鳴り散らしながら仕事をしている人…というのが、当時の私の認識だった。
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