わるい子

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それは決まって父と私しかいない日に行われた。 記憶にあるのは、父と私しかいない静かな部屋だ。 部屋には大きなベッドがあり、そこで服を脱がされ寝かされた私を父が笑顔で見ている。 父の大きな身体が私の身体に覆い被さってくるのが怖く、私は小さな手をぎゅっと握り締めることが多かった。 父は私に触れる時、いつもどこか楽しげだった。 逆に私はいつも身体を強張らせ、緊張していたように思う。 父が私と唇を重ねるとき、口内はタバコの味で苦く、嗅ぎ慣れない匂いに眉を顰めた。 何かを探るように反応を見られながら胸を触られても、くすぐったいか痛いだけで、どうしたらいいか分からない。 陰部に触れられても皮膚を触る感覚しかなく、ましてや指を入れられても痛みにシーツを蹴るくらいしか出来なかった。 特に挿入した際の痛みは酷く、打撲した場所を棒で突かれている様な、腹部に差し込んだ棒をぐちゃぐちゃと掻き回すような形容しがたい痛みを感じた。
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