08

2/12
前へ
/27ページ
次へ
案の定。 翌日。 寝不足の私は、斜め3つ前の席の男の子が気になって気になって仕方なかった。 私の気苦労とは無関係とばかりに、授業中に欠伸をしている早瀬君。 その座っている後ろ姿を見て、なんとなく歯痒いような、それでいて目を逸らしたいような、いや、でももっと見ていたいような……。 私の心はチリチリとフワフワの間を右往左往していた。 今、数学の時間。 先生の声は、まるで一枚ガラスを隔てた所から聞こえてくるように、私の耳には届いても意識にまでは届かない。 当然だ。 だって意識は別なところにあるのだから。 授業理解していない方が、また早瀬君に教えてもらえるいい口実になるかも……。 ぼんやりとそんなことを考えてしまった私は、慌てて視線を黒板に戻した。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

338人が本棚に入れています
本棚に追加