12

19/21
前へ
/21ページ
次へ
そのまま扉を閉めて、出て行った木之下君。 私はしばらく突っ立ったまま、その扉を見つめていた。 戻ってきた静寂に、少しずつ自分の頭と心が冷静になっていく。 ……ハハ。 木之下君、1年の時同じクラスだったのに、今になって私だってことに気付いたんだ。 「……」 違う。 大事なのは、そこじゃない。 ……そこじゃ……。 「……っ」 中学の時に見かけた、絵を描いていた早瀬君。 何を描いていたのか見えなかったけれど、 あれは……、 私を描いていたんだ。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

306人が本棚に入れています
本棚に追加