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「楠原、いい?」 「え?」 ゆっくりまた早瀬君の顔が近付いてきて私に影を作ったかと思うと、そのまま早瀬君の唇が私に優しく触れた。 ――あ。 キス、……のことか。 返事してないんだけどな。 ていうか、さっきも何も言わずにしたから別に聞かなくても……。 なんてごちゃごちゃ考えていたら、ふっと離れた早瀬君が、 「集中」 と、言って笑いながら小さな頭突きをした。 かと思うと、私の椅子を挟むように足を広げ、両手を回して私の首の後ろで固定した。 まるで私を捕えたような格好で、ぐんと一気に近付いた早瀬君。 「えっ」 流れるような動作に、ギッ、と椅子が軋んだかと思うと、私の首の後ろの早瀬君の手に引き寄せられ、今度は今までされたことのないような角度でキスをされる。 「んっ――」
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