真の究極のメニュー

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「な、何だっ、このカレーは一体何だと言うのだ、教えろ獅子朗っ」 「フフフフフ、今こそ真の究極カレーの正体を明かそう。さあ、来てくれ、けい子」 うら若く美しい女性がカウンターに入ってきた。 「お、お前は、粟畑けい子、何故君が」 「そう、俺のワイフだよ」 すると粟畑は唐突に言葉を放った。 「皆様、先に言っておきます。本当にごめんなさいっ」 そう言って深々と頭を下げると、事情を知らぬ山原と観客達も動揺した。 「ああ、まあそれは追々にな…コホンッ。何しろこのカレーを創るに当たって、彼女は必要不可欠の調理器具なのだから」 ますます意味が分からずざわめき立った。 「この料理のコンセプトは、究極。究極と言えば、究極の問題、と言うのがあります、食べるならどっち?と言うやつです。俺はそこからヒントを貰った」 「お、お前、ま、まさか…」 「そう、食べるなら、カレー味の○○○か○○○味のカレーかどっち?究極に悩んじゃうだろ、まさに究極、これぞ真の究極カレーだと俺は気づいたのだっ」 「か、カレーじゃ無いだろ」 「いいや、カレーです。俺は一週間も前から粟畑に食事制限をさせ、体質改善をし、食材の下拵え、咀嚼の回数まで試行錯誤の末、体内で完璧に調理出来るレシピを得た」 「そ、それってカレー味の○○○!?」 観客の中に悲鳴を上げる者、気分を悪くする者もいた。 「ごめんなさい、本当にごめんなさい!」 「コアラ然り自然界には多々有ることです。何しろこの製法でしか創れない究極の美味があるのです、ほらご覧下さい、この山原氏を見て分かる通り…」 ムモグ…ムモグ…ムモグ…ゴクンッ ムモグ…ムモグ…ゴクンッ 観客達は目を見張った。 そこには、スプーンも使わず、両手掴みで一心不乱にカレーを貪る山原がいた。 「うへ、うへへへ、えへ」 見開いた眼に満面の笑顔、口の周り、いや顔中にカレーを塗った付けて。 「山原、まだこのカレーの評価を聞いてなかったな、あんたの口から言ってくれ」 「フンッ、ま、まだ判らん、お代わりだ」 「フフフ、残念だが、まだ仕込中でな、完成まで後二時間って所だ」 獅子朗は粟畑を見てニヤリとした。 「やだっ、もう」 粟畑は赤面した。 「出来立てを一緒に食おうぜ」 「クッゥゥゥ…獅子朗、私の負けだ」 こうして究極のメニューバトルは幕を閉じ、二人は仲良くなったとさ。
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