キミが望んだ最期の日

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愛する妻からの衝撃の言葉。 何を言われたか解らず、暫くは思考も身体も硬直していた。 ── 解るのは自分の血が引き潮のように引いて行く感覚。 「な、何を馬鹿な事言うんだ?そんな事出来る訳ないだろ!」 漸く口を開いた時には口が渇き唇が張り付き、声も震えているのが自分でも解る…否、声どころか全身が震えている。 だが、妻は私のそんな様子に構う事なく、更に続けた。 「私の身体は病魔に犯されています。私は… 貴方に弱っていく自分の姿を見せたくないの。 だから ── 貴方が美しいって言ってくれた今の姿で、誰よりも愛する貴方の手で散りたい」
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