キミが望んだ最期の日

6/9
前へ
/9ページ
次へ
「誕生日おめでとう」 日付が変わり妻の誕生日当日を迎えた。 朝一で祝いの言葉を告げ、前々から二人で計画していたので二人で色んな場所を訪れた。 ── 楽しい時間の筈が、まるで自分は第三者で眺めているような不思議な感覚に陥る。 楽しい時間はあっという間に過ぎていき、いつもなら絶対行かないような、有名な高級フレンチ店で私達は早めの夕食をとる。 口コミ通り、見目麗しい料理の全てに妻は小さな歓声をあげる。 私は味を愉しむ余裕はなかったが、美味しそうに食べる妻の笑顔は心地好かった。 ─── 出来る事ならずっと見ていたい。 食事を済ませ私達は帰路につく途中で小さなホールケーキを買った。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加