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おい、おい…
あれ、なんか遠くで声が聴こえる
暖人の声だ。
もう私暖人ばっかりじゃない、居ないのに聞こえるよ
「ちょっと待てって!」
腕を誰かに引かれた。
見上げるとそこには暖人がいた。
「え、暖人…え!?」
いないはずの暖人がそこに居たから驚きを隠し通せなかった。
「もう、無視すんなよ!お前が避けたような態度すっから追いかけてきたのに」
やれやれと小声で呟く彼だったが、それを遮り「なんでいるの!?」と思わず叫んでしまった。
「うわ、酷でぇ」
「だって、居なくなるって言ったじゃない!」
「あーそれな。この街から出るっては言ったが転校するとか一言も言ってねぇぞ俺」
…え?
「なんだよその顔、まさかこの街から出るって言ったことが、学校まで変えると思ったのか??」
クスクスと笑う暖人。
いつもなら言い返してたけど嬉しすぎて言い返せなかった。
「居なくなる訳ないじゃんお前の前から。それに新しく家買って親の会社の近くに家建てただけだし。」
「また会えるよね…?」
恐る恐る聞いた。
「当たり前だろー。気づいてなかったみたいだけど俺同じクラスだし、家も隣町だしな」
良かった…本当に良かった。
「でも、寂しいな…」
薄笑いを浮かべれば暖人は覗き込むように私を見た。
「寂しくなったときは、言えよ。お前は俺の最高の幼なじみだからお前の家に行ってやるよ。それに、途中までだったら一緒に帰ろう」
「うん!!」
「でも、言ってくれないと分かんないよ!本当に焦ったんだからね!バカ!」
「可愛い奴め」
「はぁ!?五月蝿いなぁ」
「まぁ、でも
心配かけてごめんなさい」
控えめに、でも優しい声でいう彼。
そして私の頭を優しく撫でてくれた。
「いーえ、改めてだけど、これからも宜しくね!」
「ははっ、こちらこそな」
私は彼に最高の笑顔を見せた。
ごめんなさい、この言葉に対する見方が今回の出来事をきっかけに大きく変わったのであった。
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