アイツとの出会い

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アイツとの出会い

フツー男なんかに好きになるか? そう、到底ありえない。 ―――普通なら。 俺、杠 束(ユズリハ ツカネ) 俺だって別に最初から男が好きだったわけじゃない。 実際、ちゃんと女の子に興味はあるし それなりに付き合った事だってあるさ。 好みの子が通れば振り返えったり、見るとこは見てる。 「はぁ」 ため息が出る。 こうやって必死に言い連ねてる辺りが、空しい限りだ。 ……今となっては全てが言い訳過ぎない。 幾ら御託を並べた所で 常識など無視できるくらい特別。 それが俺にとっての近衛という男で、 不本意ながら、俺が本気で好きになった相手だった。 ただ、ソイツに会えるのは年に一度とある期間のみ。 なぜならソイツは他校生で、さらに詳しく言えば 俺達サッカー部が全国大会まで立ち上がって 行かなければ直に会えない奴だったからだ。 無論、そこまで勝ち上がっていかなければその1回すら危ういのだが。 だが、それが同時に唯一の救いでもあった。 ……そう、救い。 だってそうだろ、相手男なんだし。絶対、実ることもない。 だから滅多に会えないこの距離感っていうのは 却って有難い状況なのだ。
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