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スーパースター
皆の驚きが未だ収まらない中、冷静な人物が二人。
「岩倉、進行~」
最初にサッカー部顧問と紹介された紺里先生が、
マネージャーの岩倉さんにそう告げた。
二人の様子から、多分この件に関して事前に情報を知っていたようで、
皆が騒ぐのをあらかた予想し、収まるのを待っていた感がした。
俺も驚きまくっていたから、多分としか言い様がないんだけど、
この二人だけが驚いているようには見えなかった。
岩倉さんが、俺の方を向き直る。
「はい。杠……えと、何て読むんだっけ?名前」
「あ、ハイ!束(つかね)と言います」
「じゃ、杠 束。途中だったよね?悪いけど最初からいいかな」
「杠 束(ユズリハ ツカネ)。月森中出身、希望はGKです。
見た目、小さいですが気力でカバーします。
俊敏さと守備力の広さは誰にも負けません。
宜しくお願いします!」
「おお、言うね~」
と紺里先生は手を叩いた。
で、いよいよ近衛の番。
皆が固唾を飲んでその言葉を待つ。
横にいる気配だけで緊張してどうしても
その顔をまともみ見ることが出来ない。
俺も自分の時以上にドキドキしてきた。
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