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あの鷺我(ろが)中と言えば中高サッカー界で
誰しもが一目置く、屈指の名門校。
全国区の覇者の集団というイメージが強烈にあり、
同じ場にいるものなら、名を聞いいただけで
思わず、一歩引くくらい大袈裟じゃなくそんな感じ。
つまりは、
“鷺我”という言葉自体、既にブランドなのだ。
だからそこに所属していたっていうだけでも
アレなのに近衛はそこで紛れもないスターだった。
期待するなって方が無理だろう。
アレ?
ってことは、あそこエスカレーターの筈だよな。
内部システムはよく分からないけど
外部入学じゃないんだから受験とか特に無いだろうし。
いや、そもそもコイツのレベルなら
どこの高校でも特待だって十分有り得うるだろ。
自分がいる高校を卑屈に考える
必要はないだろうけど、ここフツーの公立。
しかもここ県立だから他県のコイツは
受験すらできないはずなのに。
そんなヤツが何でここにいる?
おかしいだろう……
今更のように疑問が湧きまくる。
だからこそ、皆、コイツの一言一句に興味津々だった。
「近衛 緑(コノエ リョク)、鷺我乃(ろがの)第一中出身……」
この時点で、“おお~”とか“スゲー”とかどよめきが上がった。
ミーハーな騒ぎを余所に俺は間近で近衛の声を聞いて、
心臓が跳ね上がりそうになった。
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