スーパースター

2/28
前へ
/143ページ
次へ
あの鷺我(ろが)中と言えば中高サッカー界で 誰しもが一目置く、屈指の名門校。 全国区の覇者の集団というイメージが強烈にあり、 同じ場にいるものなら、名を聞いいただけで 思わず、一歩引くくらい大袈裟じゃなくそんな感じ。 つまりは、 “鷺我”という言葉自体、既にブランドなのだ。 だからそこに所属していたっていうだけでも アレなのに近衛はそこで紛れもないスターだった。 期待するなって方が無理だろう。 アレ? ってことは、あそこエスカレーターの筈だよな。 内部システムはよく分からないけど 外部入学じゃないんだから受験とか特に無いだろうし。 いや、そもそもコイツのレベルなら どこの高校でも特待だって十分有り得うるだろ。 自分がいる高校を卑屈に考える 必要はないだろうけど、ここフツーの公立。 しかもここ県立だから他県のコイツは 受験すらできないはずなのに。 そんなヤツが何でここにいる? おかしいだろう…… 今更のように疑問が湧きまくる。 だからこそ、皆、コイツの一言一句に興味津々だった。 「近衛 緑(コノエ リョク)、鷺我乃(ろがの)第一中出身……」 この時点で、“おお~”とか“スゲー”とかどよめきが上がった。 ミーハーな騒ぎを余所に俺は間近で近衛の声を聞いて、 心臓が跳ね上がりそうになった。
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

228人が本棚に入れています
本棚に追加