スーパースター

6/28
前へ
/143ページ
次へ
完璧な奴はどこでも完璧なわけで…… 部活以外でも近衛は注目を集めていた。 クラスは隣なんだけど、同じクラスの女子が 三組にイケメンがいる、と連れ立って 昼休みにわざわざ見に行ったりと大騒ぎだ。 普通なら有頂天になるか周りに自慢したがっても 不思議じゃないと思うんだけど。 「遅れてきたから珍しいんだろ。 今だけだ、人ってすぐ飽きるから」 なんて嫌味の欠片も感じさせない 笑顔で軽く笑いのけてたぜ、と友人。 しかも約一か月半後の中間テストで いきなり近衛が5位に入った事が 更に女子からの人気を過熱させた。 (オイオイ……欠点とかねーのかよ) 実際こういうヤツっているんだな。 もうそこまで揃ってると流石に妬みとか通り越しちまう。 そんなんだから教室でも部活でも、 いつも近衛の周りには人だかりで なかなか喋ることができなくて。 周りがやっと近衛の存在に慣れ始めた頃、 珍しく一人でいるのを見計らって やっと思い切って聞いてみることにした。 「今、いいかな?近衛」 「……何?」 初めてまともに見た近衛の顔は雑誌とかより全然精悍で 男の俺から見ても思わず目を合わせるのが 気恥ずかしい感じになるくらいだった。 ……女子が騒ぐ筈だ。
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

228人が本棚に入れています
本棚に追加