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今、もしかしたら
紅くなってるかもしれないってくらい顔が熱い。
弱腰になりそうになるのを必死に堪えて、
「聞きたいことあるんだけど」
やっとそう切り出せた
ずっと聞きたくて聞けなかった事。
「オ、俺の事覚えてない?」
緊張しすぎて思わず上ずった声が出た。
(うわっ俺、恥ずかし過ぎるだろ)
なのに返ってきた言葉は、
「………どっかで会った?」
近衛は済まなそうにいう訳でもなく、
本当に見覚えないって風で。
しかも、
「えっと、悪い。未だ全員覚えれなくて
―――お前、名前なんだっけ?」
それは、あまりにも決定的な言葉だった。
「あ……いや、俺の勘違いだった……みたいだ。
きっとテレビとかで見て
勝手にそう思っていたのかも。
……俺は杠、宜しく」
後半何を言っているのか自分でも
分からなくなる程、動揺していた。
もうその場にいる事すら、恥ずかしくて堪らなく
俺はじゃと踵を返して逃げ出していた。
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