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後半四十分、スコアは0-0
俺はGKだから試合の流れがよく見えていた。
個人技が勝るアイツに翻弄されながらも
よくDFがプレスをかけ、食らいついてる。
(アレで同じ年とかバケモノかよ)
それでも再三、ゴールを狙われはしたが
まだ一点も許してない。
……しかし、今のコーナキックからの攻めは流石に危なかった。
本当、指先がたまたま運良く触れて防げたけど、
次同じようなものが来て同じ事をしろって
言われて、出来るかと言われたら到底不可だ。
マジであの15番、ゴールコースかなり際どい所というか、
嫌なところばかりついて来やがる。
ボールを蹴って味方に渡した後その視線に気が付いた。
例の15番だ……
何でこんな所に立ってる?
いくらFWといえど、自分のゴール守らなくって
良いのかよ。
もしかして……カウンター狙いか?
そう思って、改めて見るとソイツはじっと俺の方を
見ていた、いや明らかに睨んでやがる。
「……何だ?コイツ」
流石にムッとした。
(はぁ?試合中に喧嘩売ってんのかよ)
こっちも睨み返してやると、あろうことかニヤリと笑った後、
踵を返して自分の陣地の援護に戻っていった。
(今の……ナニ?)
このままいけばPK戦に持ち込めると踏んでいた。
PKになればこっちにも分はある。
後はロスタイムを残すのみだ。
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