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この時間に入ってからやたら守る時間が長い。
要は押されているのだ。
向こうは連覇かかってるし、その猛攻は半端無い。
審判が時計を気にしてる様子からも
もう時間も少ない筈、ここを乗り切れば……
サイドから9-15のワンツーで
ツートップの9番がセンターリングを上げる。
(最後はやっぱり又、15番でくるのか?)
え?奴は何処だ?いない?
こうもゴール前が混戦していたら
見えやしない。DF何やってる。
センターリングをヘディングで合わせられ
ヒヤッとしたが、パンチングで逃れた。
瞬間、ボールが消えた。
次にボールを見た時には時すでに遅く俺が反応した真逆で
ゴールネットの揺れるザクッっとの音がして、
振り向いた先にボールと15番の後ろ姿。
全然、この一瞬ボールもアイツの動きも見えていなかった。
まんまと相手側の陽動作戦にやられた、完全な俺の失態だった。
結局これが決勝点となり
俺達は準優勝という形で大会は幕を閉じた。
目の前で大歓声を浴びている相手チームの
喜ぶ顔と俺達の泣き崩れる顔の対比。
勝負の世界では勝ち負けがある以上
仕方がないといっても、その悔しさだけは
一生忘れることはないかもしれない。
「最後、油断したな」
その場でうつ伏せに倒れていた俺に真上から声が聞こえた。
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