アイツとの出会い

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逆光で顔が見えず、差し出された手を取って立ち上がった時、 それが背番号15の近衛だと分かった。 「お前やるな。 こんなに点入れにくい奴、初めてだった」 そういって笑った顔が、さっきまでの 印象を変えるには充分だったけど、 悔しい気持ちとは別に湧いた気持ちの変化に 俺は居心地悪くて、握手された手を早々に 離してしまった。 「また、ここで会おう」 振り向いてアイツが両手を上げた瞬間、 観客席の歓声が一段と高まった。 ピッチからベンチに戻る間、色々インタビュー とかされたけど、何も覚えてない。 アイツの“また、ここで会おう” その言葉ばかりが頭に一杯で。 それから俺達は結局一度も全国大会へ進出することは 出来ず、テレビで近衛の活躍を見てるだけで 中学のサッカーは終わりをつげた。 ~~~~~ ご指摘ありがとうございますm(__)m
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