アイツとの出会い

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中学の最後の春休み。 俺は何もすることが無くて 既に何回読み直したか分からない ヨレヨレのサッカー雑誌を見ていた。 特に読み込んでるページには 近衛の特集記事が載っていて、 保存用にとわざわざ二冊目を購入したくらいだ。 数分眺めて、はぁ、と溜息。 何やってるんだと思わなくはないが 出るんだからしょうがない。 『ここで、また会おう』 その言葉と顔が忘れられなかった。 十四連覇を成し遂げた近衛達とは違い 結局、一度も足を踏み入れることすらなかったけど。 ――いい加減、女々しいよな。 向こうはとっくに忘れてるだろうし、 あの時だってそこまで意味があって 言ったわけじゃないのかもしれないってのに。 (分かってるさ、そんなこと) それでもいつまでもこんな風に引きずるのは 果たされなかった再会の約束だったからか、 それとも…… あの熱かった夏の全中の思い出が強く余韻として 残っている所為だろうか?
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