13STEP

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……だけど…… 「でも、父さん…俺ら跡継ぎ作れないけど」 俺のひとつの心配を、余計な言葉を挟まずに、ダイレクトに言った紘都。 言い難いことを、スバッと言う紘都の心臓には、絶対毛が生えてる。 「分かってるよ…別に跡継ぎなら、陽菜や桜太、あとは多分、柚乃のとこから生まれてくるだろ?未来、この世に誕生する俺の孫達が、何人かは絶対この世界の扉を開く……そしたら、お前達で育ててくれ」 「誰も興味を持たないかもしれないよ?」 そして、また言い辛いことをズケッと言う紘都。 「大丈夫だ、絶対に何人かはこの世界に飛び込んで来る…俺の孫だからな!それに、春翔や紘都がいい例だ」 絶対の自信を持つ父さんに、それ以上は口を挟まなかった紘都。 「…まあ、父さんの意志は尊重するよ」 「春翔はどうだ?」 『どうだ?』とは、デザイナーの話だろう。 「…うん、やってみるよ」 今よりも、もっと父さんの期待に応えられるように…… 「…そっか…じゃあ、早速一着頼みたい…来年のショー様に」 「ええっ!?」 承諾と同時に依頼って…… 流石だよ、父さん…… やると言ったからには、もう逃げられない。 父さんの部屋から、自分達の部屋に戻った俺たち。 早速、スケッチブックにペンを走らせるけど、これといったものが思い付かない。 「約一ヶ月後だね…そんなに難しい顔しなくても、メンズの時と変わらない要領でやれば、いいと俺は思うよ」 メンズの時と変わらないか…… 紘都の言う通りかもしれない。 「ところで、紘都…明日どこか行くなんて話してたっけ?」 母さんにそう言っていた紘都の言葉を思い出し、問う。 「話はしてないかな?でも、春と行きたいとこがあるのは、本当だよ」 「…また、事後報告……まあ、いいけど」 にこにこ笑う紘都に溜息を付きながら、スケッチブックに視線を戻す。 ショーに間に合わすなら、デザインに時間は掛けていられない。 モデルとなる人物を思い浮かべ、ひたすらデザイン画を起こしてく。 それを深夜遅くまで続けた俺を、寝ずに少し離れた場所から、見守っていてくれた紘都。 目覚めたのは昼近くだった。
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