エピローグ

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それから約一ヶ月後── 市でも大きい会館に特設ステージを設置し、 kotokoブランドとCherry blossomのコラボでショーが開催される当日、一度通しでリハを済ませた後の控え室に、台風のようにやって来たのは、 「久しぶりね!皆、元気にしてた?」 俺たちが子供の頃から、見た目が変わらない琴ちゃんが、笑顔で歩み寄って来た。 「…無駄にテンション高いな、お袋…」 「…全くだよ」 父さんと向が口を揃えて言う。 「何よおっ!息子ふたり揃って冷たいんだからっ!あらっ、美桜も来てたのね!?音羽屋はいいの?」 「お久し振りです、お義母さん!今日は、柚乃に任せて来ました…お義母さんにお会いしたかったから」 「美桜は本当に可愛い娘なのに……血を分けた息子たちは、ちっとも可愛くないわ…」 多分父さんは、琴ちゃんの名前を出して、母さんをここに来させたんだろうな…… そう思って、チラッと父さんに視線を向けると、唇の前で人差し指を立てて、俺に笑い掛ける……あの不敵な笑顔で…… 父さんの思惑の……片棒を担いでる俺には、何も言える訳がない。 ショーということもあり、ここにはCherry blossomのメインスタッフが一堂に会している。 琴ちゃんが、きょろきょろと見渡し、目的の人物に近付く。 「桜太!」 「久し振りだね、琴ちゃん…相変わらず綺麗だね」 実の祖母にまで、そういうことを気軽に言える桜太って……或る意味父さんより最強かも…… 「口が上手いわね……数年振りに会ったけど…益々誰かさんにそっくりになったわね……それはそうと、結婚したのよね?おめでとう!今日は、奥さんは連れて来てないの?」 「ありがとう、店が休みじゃないからね、今日は来てないよ」 「そう、残念だわ……でもまさか、最年少の桜太が、2番目に結婚するなんて思わなかったわ…陽菜は、順調そう?」 「うん、あと2ヵ月くらいじゃないかな?」 そんな話をしている、琴ちゃんと桜太を眺めていたら、どこからか戻って来た樹里さんと斗真さんが目に入る。 涙ぐむ樹里さんの肩を、斗真さんが支えてる。 「…何か…あったのかな?」 隣にいた紘都に話し掛ける。 「…そう、だね…どうしたんだろう」
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