13STEP

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紘都に起こされ、朝昼兼用の食事をしてから、紘都と共にやって来たのは…… 「…何で…白の教会?」 俺の問いには答えずに、俺の右手を握り、そのまま教壇の前に進んでく紘都。 「…誓を立てるなら、ここしかないと思ったんだ……俺たちは兄弟で、男同士……だけど愛し合ってる…公な結婚式なんてものも、挙げられない…だけど春、ふたりだけの結婚式なら、挙げてもいいかなって…」 俺を見下ろす紘都の目が、とても優しくて…… そんなふうに、考えていてくれたことが、何より嬉しいと思った。 「春翔……この先ずっと春翔を愛してく…この手を二度と離さない」 俺の左手の甲にキスを落とす紘都。 「どんな時も、春翔の傍ににいる…だから、俺と一緒に生きて欲しい…ここに、変わらぬ愛を誓う」 誓いの言葉を言った紘都が、俺の左手の薬指にシルバーの太めのリングを嵌める。 …指輪なんて、いつの間に用意して…… 指輪にも驚いたけど、何より……滅多に紘都が俺を『春翔』と呼ばないのに、何度もそう呼ばれて…赤くなるし、飾らない紘都の真っ直ぐな言葉が嬉しくて……俺の緩い涙腺は、あっという間に涙を溢れさせる。 「…俺もっ、誓う!ずっと紘都を愛してく…ずっと紘都の傍で生きてく!」 涙でボヤける視界で、紘都から受け取ったお揃いのシルバーのリングを紘都の左手の薬指に嵌める。 「…誰に知られなくても、認めてもらえなくてもいい…これで、俺たちは、ずっと一緒だよ…春翔、愛してる」 俺の両肩に手を乗せ、首を傾けた紘都。 唇が重なる瞬間に目を閉じる。 ステンドグラスに反射する光が、俺たちを包んでいた。 形に残るものなんて、必要ないって思ってたけど…… 同じものを、同じ場所に身に付けて……何回とも知れぬ恋人たちの愛の誓いを見守ってきた白の教会で、紘都とふたりで変わらぬ愛を誓い合えて……幸せだと、心から言える。 唯一無二の存在の紘都と、これからもずっと…… 生きていくんだ。
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