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扉をくぐると、あぁ、図書館だ、とすぐにわかる。
書籍独特のインクの匂いに、どこか埃っぽさも混じっている。
早苗はあらかじめ書類に記載されていた地図を思いだしながら、事務室へと向かう。
照明は移動するのに最低限な明るさしかない。
よくいえばシックな、悪くいえば薄暗い雰囲気だ。
バリアフリーの整った館内は、多くの本が棚におさめられており、本好きの早苗はわくわくした。
一冊、一冊丁寧に眺めていきたい気持ちをぐっとこらえ、早苗は事務室の扉をノックする。
トントン。
中からの返事はない。
早苗はもう一度ノックをし、扉を開けた。
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