4人が本棚に入れています
本棚に追加
「話は終わったか」
元の事務室に戻ると、先ほどまで眠っていた男性は、既に起き上がり、何やら準備を始めていた。
早苗の前までズカズカと来て大きな荷物袋を手渡す。
「これが当面の作業着。必要があれば改良を加えるから、あとで感想を教えてくれ。
パソコンはこの机のを使ってもらえれば。アカウントは昼勤務の人とは別にしておいてもらう。
あとは……」
「ちょっ……ちょっと!」
早苗は男性の言葉を遮る。
その様子を見て、男性は何かを思い出したようだった。
「あぁ……、そうか。俺は柳田隆弘。
夜勤は今のところ俺と、あともう一人いる」
館長がどこまで説明しているか分からないからな……と、柳田はガシガシと頭を掻く。
軍隊の戦闘服を真っ黒に塗りつぶしたような服を着ている柳田は、服に隠れているが、かなりの筋力の持ち主だと、体育会系の早苗は感じた。
自分がいうのもなんだが、図書館に勤めているにしてはガタイが良すぎるな、と感じる。
「あの……っ! 私の業務って……」
私の言葉に、柳田が呆れたような表情をする。
「なんだ、館長はその説明もせずにこっちによこしたのか」
そして、驚くようなことをいいだした。
「あんたには怪物退治をしてもらう。図書館に住み着くな」
無表情でそんなことをいう上司に、早苗は「は?」と返事をした。
最初のコメントを投稿しよう!