1.本の蟲

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「話は終わったか」 元の事務室に戻ると、先ほどまで眠っていた男性は、既に起き上がり、何やら準備を始めていた。 早苗の前までズカズカと来て大きな荷物袋を手渡す。 「これが当面の作業着。必要があれば改良を加えるから、あとで感想を教えてくれ。 パソコンはこの机のを使ってもらえれば。アカウントは昼勤務の人とは別にしておいてもらう。 あとは……」 「ちょっ……ちょっと!」 早苗は男性の言葉を遮る。 その様子を見て、男性は何かを思い出したようだった。 「あぁ……、そうか。俺は柳田隆弘。 夜勤は今のところ俺と、あともう一人いる」 館長がどこまで説明しているか分からないからな……と、柳田はガシガシと頭を掻く。 軍隊の戦闘服を真っ黒に塗りつぶしたような服を着ている柳田は、服に隠れているが、かなりの筋力の持ち主だと、体育会系の早苗は感じた。 自分がいうのもなんだが、図書館に勤めているにしてはガタイが良すぎるな、と感じる。 「あの……っ! 私の業務って……」 私の言葉に、柳田が呆れたような表情をする。 「なんだ、館長はその説明もせずにこっちによこしたのか」 そして、驚くようなことをいいだした。 「あんたには怪物退治をしてもらう。図書館に住み着くな」 無表情でそんなことをいう上司に、早苗は「は?」と返事をした。
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