プロローグ

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一樹は小さい頃から世渡り上手だった 幼稚園の年長組の頃 若い先生に対して、愛くるしい笑顔で媚びり いつも一樹は、先生をバックに何でもやりたい放題だった。 一樹が男の子に喧嘩を吹っ掛けた時も、あの天使のような泣きそうに潤む瞳で訴える姿に先生達は胸を打たれ 一樹が悪いのに、その子のせいにされていた。 案の定、その男の子は泣いちゃって( 可哀想に…)と端から見るだけだった私 女の子には特にそう 周りの男の子に 「ブタ!ぶさいく!」といじめられていたら、すかさず一樹は その女の子のもとに行って 「…ちゃんは、可愛いよね」 と天使のような笑顔を向ける。 そうやって一樹が言う度、決まって その女の子は一樹にメロメロになるのだ。 そして、私の前では お決まりの台詞 「確かに可愛くないよね。何か子ブタちゃんみたいだもん …ちゃんって」 ケラケラ笑いながらそう 言うのだ。 私は、その都度 呆れ返って何も返しはしないが…
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