3 幼馴染みのアイツ (一樹side)

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「うわっ、痛そう……。ゴン!って思いっきり音したよねゴンって……」 亜果利は俺を心配して、オロオロしだした。 顎をおさえたまま、しばらく うずくまる俺に実優が驚いた口調で聞く 「は?一樹、何してんのよ。何で私の頭上なんかにいるの?」 大丈夫の一言あってもいいだろ…おい。 って、そもそも急に立ち上がるなって 「実優…めちゃ痛いんだけど…軽く舌噛んじゃったし」 もう、そんなに痛くはないが俺は大袈裟に演出してみた。 亜果利だけは心配してくれたが 肝心の実優は冷めた目付きで見下ろす 「うそ、神谷くん ヤバイじゃん。とりあえず保健室行った方が よくない?実優、つれていきなよ」 平然としている実優の背中をバンバン叩く亜果利 「大丈夫だよ。これくらい。私、飛び蹴りとか 頭突きしたことあるし。そのくらい、何ともないよ」 「うわ、神谷くん…可哀想」 亜果利だけは俺の、この気持ち分かってくれる… 俺は普段、可哀想なくらい実優に冷たくされてんだよ まあ、俺も人の事 言えないけど そうこうしてるうちに、月野が教室へ入ってきた 明らかに 動揺している実優 月野も 「お………ハヨ」と最後の方が聞き取れないくらいの挨拶をして、明らかに挙動不審な動きを見せる 鞄を机に置いたかと思えば、教科書も出さずボーっと どこを見ているのか視線が定まらないままどこかに向けている どこ見てんだよ月野は… 「ねえ、月野くん。今日、実優なんか変なんだけど 何か知らない?」 おい、バカ 亜果利は月野の前に立ち 聞いた おい、何も知らないとはいえ まずいだろ。 変になった原因かもしれない、張本人に聞くなって… 心の中で叫ぶが亜果利には届きはしない。 「ちょっと!亜果利、私 変じゃないから…… 」
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