4 揺れる心…

8/22
前へ
/343ページ
次へ
「実優!!」 開かなかったはずの、扉から一樹の叫び声が聞こえてきたのだ 一樹…… せっかく来てくれたけど、私 もうダメみたい このまま地面に落ちちゃうよ…… 「実優!!このまま俺の上に来い!受け止めてやるから!」 ドスン! 私は、跳び箱と共に そのまま一樹の上へ落ちていった 跳び箱は運良く私と一樹を避けるように散らばる 一樹は尻餅をつきながらも、私の身体を右手で支えた。 「ったく、危ねぇよ。危うく跳び箱の下敷きになるとこだったし。地味に痛いしさ… 」 一樹の、おかげで無傷な私 「ごめん…」 痛そうに顔を歪ます一樹に気づいた私は、一言 謝ると身体をどかそうとした瞬間だった いきなり一樹の腕が、立とうとする私の身体を自分の胸へと引寄せたのだ 「ったく…大袈裟なんだよ…。10段で落ちたって何ともねぇのに。高所恐怖症にもほどがあるだろ。ま、実優が無事で良かったけど……」 何よ… その言い方 10段だって怪我するときは怪我するんだから それに、何で私は一樹に抱かれてなきゃいけないのよ そもそも何で一樹は、ここにいるわけ? でも、これで出られるってことか! 「それより実優……怪我ないか…」 「え?あ、うん。私は平気… 一樹が受け止めてくれたから。って、一樹は?大丈夫なの!?」 「まあ、実優の体重がのし掛かったんだから、 足やられたかも。なんせ実優のデカ尻が思いっきり落ちてきたからな」 デ、デカ尻!? 私、普通サイズだもん!
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

247人が本棚に入れています
本棚に追加