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私は一樹の腕から離れると タコみたいに顔を真っ赤にさせて膨れた。
その瞬間、一樹が、フッと吹き出す
「わ、笑ったな!すっごいムカツク。それに!何で一樹が ここにいるのよ!」
「は?助けてもらっといて逆ギレかよ」
「別に頼んでないし……一人でも、出れたもん……」
「ふーん。あっそ、なら一人で出たら?あの窓から。俺は来なかったことにすればいいんだろ?」
一樹はムクッと立ち上がると扉に向かって歩き出す
ちょっと待ってよ。
行かないでよ
一人にしないでよ…一樹…
振り返ろうとしない一樹を私は
無意識にその腕に掴まっていた
「い、行かないで………」
一樹は私の言葉に少し振り返り、今まで見たことがない優しい笑顔で「バーカ。実優を一人、置いてくわけないだろ」そう口にした…
「あ、ありがとう。一樹… 助けに来てくれて本当に ありがとう…」
自然に涙が溢れてくる私
そんな私を優しく撫でる一樹の手
「これくらい、どうってことねぇよ」
この言葉に また涙が溢れだす
そんな私を見て呆れたように笑う一樹は…
涙で、よく見えなかったけど… 少し照れてるように私の目には映った
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