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「ただいまー」
「あ、実優?一樹くん、大丈夫なの?」
帰るなり、うちの母親が慌てた様子で玄関まで小走りでやってきた
「ん?何?一樹が何かあったの?」
「何かあったの?じゃないわよ。さっき一樹くんにバッタリ会ったんだけど右手に包帯巻いちゃってて。学校で怪我したの?って聞いたら、バスケットボールしてて怪我したっていうじゃない。実優なら、どんな風に怪我したか知ってるかなって思ってね」
怪我?
右手?
やっぱり一樹は、あの時…
私を助けた時、怪我してたんじゃん。
それを、ずっと隠そうとして…
本当、バカだ
私になんて隠さなくていいのに
カッコつけなくていいのに…
「お母さん……私 一樹の家、行ってくる」
「いいけど、お母さん これから仕事行かなきゃいけないから、ご飯は自分で温めて食べなさいよ」
「うん、分かってる。じゃあ、行ってくるね」
私は制服のまま一樹の家へと急いで向かった。
包帯巻いちゃってって事は、相当 痛かったはず
なのに、ずっと我慢して強がって、、
私に気を使って…… 本当バカなんじゃない?
今まで気を使ってくれたことなんかなかったのに
こんな所で使うなんて、何考えてんのよ
バスケットボールで怪我したなんて、そんな丸見えの嘘なんかついて
私を、騙せるとでも思ったわけ?
一樹を、ずっと見てきた私に、そんな嘘で簡単に騙せると思わないでよね。
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