246人が本棚に入れています
本棚に追加
「佐伯さん、手繋ごう?僕が先に歩いてリードするよ」
「あ、そんな悪いし……」
「いいから、ほら」
え?……
そう言うと羽鳥くんは私の手を握ってきた
「ちょっと…誰かに見られたら噂されちゃうよ」
「こんな暗いんだから大丈夫だよ。それに……僕は別に噂されてもいいんだけどな。佐伯さんとなら、逆に嬉しい」
「え?」
その言い方って、まるで… 私と羽鳥くんが…
いや、それは考えすぎでしょ
ただ羽鳥くんが気を使って言っただけだよ
何、勘違いしかけたのよ私は
「僕さ、妹がいて 妹が小さい頃、迷子にならないように こうして手を繋いでたんだよね。今は妹も大きくなったから迷子になることはなくなったけど。佐伯さん見てると小さかった頃の妹のこと思い出すんだよ。僕、妹が一番 大好きだから。あ、変な意味じゃなくて家族として」
ん?妹?
羽鳥くんが、こんなに私に対して親切なのは
私の事、もしかして妹と被って 見えちゃってたから?
そういうこと?
「あ… 佐伯さん、時間ないから少し急ぐけど もし早かったり、怖かったりしたら遠慮なく声かけて」
「あ…… うん。ありがとう…」
最初のコメントを投稿しよう!