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その後は皆と世間話をして、昼休みは終わった。その時に気になったのは、有紀がたまに考え込んでいるような表情を浮かべていたことだった。 放課後になると、皆がどっかに行こうかと話しかけてくれたけど、ちょっと一人になりたくて私は断って帰った。 ◆ 「ねえ、二人とも。美羽に起きたことってどういうことだと思う?」 私は美羽が帰ると、そう莉佳と水雫に聞いた。 「やっぱり、ずっとそのこと考えてたんだね。有紀は考えすぎなところあるからなー。」 莉佳は鞄を振りまわしながら、軽い口調で言った。 「そう言いながら一番心配してるのは、莉佳なんだよね。」 「うるさい、水雫。確かに気にしているよ。だけど美羽に助けてって言われるまでは、私たちは何もしない方がいいんだと思う。というか、何も出来ない。だって、記憶をなくす怖さも知らないし、美羽は誰かに殺されるところだったのかもしれないから。私たちがいつも通りに振る舞っていないと、絶対美羽は不安になる。まあ、気にするのも分かる。何故か、美羽は里絵のことを忘れているんだもん。」 そう、私が気になっているのはそこだ。私たちは美羽のお見舞いに行った時、美羽のお母さんから美羽が部分記憶喪失だと聞いた。だから、あまり美羽に倒れていた日のことを聞かないでとも言われている。ということは、美羽が記憶をなくしているのはその日のことだけ。だとしたら、里絵が関わっている可能性は高い。あと、もう一つ今考えると不思議なことがある。それは、美羽がお見舞いに来なかったことだ。もしかしたら来れなかったんじゃなくて、自分が犯人だと気づかれるのが怖くて、来なかったという可能性もある。そして美羽もそのことに気がついているはずだ。きっと一人で悩んでいるだろう。だけど、莉佳の言うようにいつも通りに過ごすのが一番かもしれない。 「莉佳の言う通りだね。よし、ちょっと色々と悩みすぎたから、気晴らしにどっかでスイーツ食べよう。それで、明日には美羽と里絵も引き連れてどっか行こう。」 二人は満面の笑みを浮かべ、安心している様子だった。私が二人に心配をかけるのは、申し訳ない。明日には、絶対美羽を笑顔にさせてみせる、そう心の中で呟いた。
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