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「花ちゃん、お誕生日おめでとう」
「えっ。何?」
ボーイから聞いていた誕生日に、ブレスレットを用意した。
「いいから、開けて」
花ちゃんは、白い袋からブレスレットを取り出した。
「きゃっ。どうして私がこれを欲しいってわかったの?」
そこは余裕で、僕は笑顔を返しただけだった。
「つけてあげようか」
「とっても嬉しい。でも、これはいただけないわ」
花ちゃんは、ブレスレットを箱に入れ袋に戻した。
「なんで?」
「だって、こんな高い物」
ああ、花ちゃん。なんていい子だ。僕が普通のサラリーマンだと知っているからそんな心配をするんだね。
「いいんだよ」
「だめよ」
僕たちは押し問答をした。
だが花ちゃんは「じゃあ今回だけ。次からはやめてね」と言い、大事そうに箱を抱きしめた。
「大切にするわ」
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