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花ちゃんの誕生日
忘年会の流れで先輩に連れて行かれたキャバクラ。僕はそこで花ちゃんと出会った。
「なんで君みたいな子がこんなところで働いてるの?」
すごく失礼な質問だった。女の子たちは「ひどーい」と怒っていたけれど、花ちゃんは困ったような顔で笑っているだけだった。
花ちゃんは派手な化粧じゃなくて、髪もバカみたいに盛り上げてもなく、大きくて真っ黒な瞳がチャーミングな子だった。
年が明けて一人で店に行ったら、花ちゃんは僕を覚えていてくれた。
僕が出版社に勤めていると知ると、「私、ほとんど本を読んだことがないの」と恥ずかしがった。知ったかぶりをする子よりも好感が持てた。
「私、あまりお客さんがいないのよ」という言葉に、僕は「これからちょくちょく来るよ」と約束していた。
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